明晰夢が自在に見れる世界
こんにちは喜助です。
僕はバリバリの文系大学生なんですが睡眠中の夢に関してはとても興味があります。脳の動きとか。
夢に出る世界は並行世界だとか、予知夢とかなんだかワクワクしませんか?
映画「インセプション」なんか大好きです僕。
万葉集の中にはこんな歌があります。
633「いかばかり 思ひけめかも しきたへの 枕片去る 夢に見え来し」(湯原王の娘子)
……どんなに強く私を思って下さったからでしょうか、(しきたへの)枕の一方をあけて寝た私の夜の夢に現れたのでした。
639「わが背子が かく恋ふれこそ ぬばたまの 夢に見えつつ 寝ねらえずけれ」(同)
……あなたがこんなにまで私を恋しく思ってくださるからこそ、(ぬばたまの)夜の夢にしきりに現れて眠れなかったのですね。
(『万葉集』巻四)
相手が自分のことを強く想うからこそ自分の夢にまで出てくると。
まさに文系って感じですね。
でも思いませんか夢には夢があると!!
夢に対するロマンはさておき、皆さんはタイトルにもあります”明晰夢”とは何かご存知でしょうか?
明晰夢とは睡眠時に見る夢の中で自分が夢の中にいると認識しながら見る夢を指します。
大抵の場合「これ夢じゃね?」なんて思った瞬間には目が覚めてしまうと思います。でもこれが起きない状態なんです明晰夢ってのは。
夢を夢だと自覚してしまえばこっちのもんじゃないですか。やりたい放題じゃないですか。犯罪起こしたってたかが夢の中の話じゃないですか。
今回はその明晰夢に関する話をします。
明晰夢から異世界へ行けるとか
ネットで明晰夢に関して検索したことのある方はこの話を見たことがあると思います。某掲示板発祥のオカルトのようなものですね。
その内容とは、明晰夢は異世界であり訓練を何度も行い明晰夢を極めると夢と現実が入れ替わってしまい、今いるこの現実が夢と化すというものです。訓練方法はREM睡眠状態に持っていくために浅い眠りを意識して、毎日見た夢を忘れないようにする。といった感じです。
某掲示板ではその方法を用いて異なる世界から来た方々が沢山いらっしゃいます(笑)
また、中には異世界の未来から来た方もいるようです。
しかし、残念なことに僕の見た限りでは元号「令和」を言い当てた人はおりませんでした。微妙に世界線が異なる未来から来たため、元号が異なるのも仕方ないんでしょうかね(笑)
真偽はさておき読み物として面白いのでまとめサイトなどで読んでみてはいかがでしょうか?死ぬほど暇な時にでも。
「明晰夢 異世界」や「明晰夢 タイムリープ」などでヒットするはずです。
明晰夢を誘発する方法?
オカルトチックな話をしたところで次は科学的な面から攻めていきたいと思います。
なんか面白い論文ないかなあとGoogle Scholarで検索かけてみました(ちなみに明晰夢は英語でLucid dreamingと言うらしいです。そのまんまですね)。
結果こんな論文を見つけました。
PLOS "Pre-sleep treatment with galantamine stimulates lucid dreaming: A double-blind, placebo-controlled, crossover study" (https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0201246)
要約
過去の研究
- LaBerge氏は科学研究に基づき、the Mnemonic Induction of Lucid Dreams (MILD)という明晰夢誘発を助ける技術を発案しました。MILDの内容を紹介します。まず昨晩の夢や目覚めた直後に見た夢を記憶するよう心がけます。次に夢の中における異常、いわゆるこれは夢だ!と認識できるような”夢のサイン”を見つけます。その後、自分は明晰夢を見るんだ。と暗示しながら夢のサインを視覚化することに集中し、再び眠りにつきます。ある被験者においてはこの運動により、普通に寝る8倍も明晰夢へ誘導が効率的に行えるという結果がでました。
- また、明晰夢への誘導法としてREM睡眠中に睡眠マスクを介して睡眠者の目に点滅する光を照射するなど、合図として感覚刺激を使用する方法があります。夢を見る間のその刺激が夢を認識する手掛かりになるそうです。
- LaBerge氏は過去の報告から明晰夢に移るためには覚醒状態の長さがキーであると考え、10~15分の覚醒時間(起きてる状態)をMILDに組み込みました。その後の研究ではMILDの睡眠サイクルに30分もしくは60分強の覚醒時間を挟むことで更に明晰夢に誘導しやすくなるということが示されました。
- 過去に明晰夢を見たことのある10人の被験者を対象に3泊3日、就寝時にそれぞれアセチルコリンを0mg(プラセボ)、5mg、そして10gのドネペジル、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を服用させる実験を行ったところ、10人中9人がドネペジル服用時に明晰夢を見ました。また、参加者のうち1人のみがプラセボで明晰夢を見ました。
これら過去の研究結果を踏まえて本論文では速効性アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の効果大きさと信頼性を定量化するため、129人参加のうち8人が対象から除外された明晰夢に興味のある被験者121人(男性63人、女性58人、年齢43±12、19〜75歳[平均±標準偏差、範囲] )を睡眠中断とMILDをコリン作動性増大と組み合わせたプログラムに従事させました。
結果、121名の参加者のうち合計69名(57%)が、2泊のうちの少なくとも1日にガランタミンの有効投与量で明晰夢を見ることに成功しました。
真面目に要約してたらとてもとても長文になってしまいまして本実験に関してはバッサリ結果のみ書きました。
詳しく読みたい方は先ほど載せたURLからお願いします。
(要約ミスってたら随時書き直します。)
明晰夢に関する研究ってこんなに進んでたんですね。LaBergeさんのMILDに関してはとても有名らしく書籍化までされていました。
某掲示板で述べられていた訓練方法もインセプションに出てくる独楽もMILDから来てたんのかもしれませんね。へえーって感じです。
本論文はMILDに他の研究結果を組み合わせたさらなる発展って感じですね。
この先どんどん研究が進めば皆が明晰夢を見れるようになるのでしょうか
”明晰夢が自在に見れる世界”
いいのか悪いのかわかりませんけど。